私のこの頃の生活は、昼は家にいて猫を撫でたり猫を撫でたり猫を撫でたりしつつたまにクリスタを起動してお絵かきするか、もしくは相方の事務所に行って電話番をしたりコピーとりをしたり憂さ晴らしに仕事の邪魔をしたりなのですが、今日は後者の方で、月末とてあちこちに支払いをせねばならず、街なかの銀行と郵便局の間を行ったり来たりしていました。
そんな調子で京都の三条通にある中京郵便局から東洞院通を北上していたときのことです。
ここは解体されてしまった新風館というショッピングモールの裏手にあたり、私はそのがらんとした土地の隣にある、古めかしい建物の前を通るのをいつも楽しみにしています。
平楽寺書店というそのクラシカルな建物は3階建ての石造りで、正面ドアのガラス越しに中を窺い見ると、古い木製のカウンターがあって、その奥に紙ケースに入った学術書っぽい本がずらっと並び、本屋さんというより古書店? 印刷所?みたいな感じ。フリでふらりと入れる雰囲気ではないとこがまた、なんかいろいろ妄想したくなるー。
実はその正体は仏教関係の出版社だそうで、建物は昭和2年に建てられた国の指定文化財なんだそうです。
私が建築士だったら名刺を見せて、後学のためにこちらの建物を見学させていただきたいって言えるのになあ。マンガ描きじゃだめかしら。不審なだけかなあ…などと思いつつ今日もその前を通りかかったら……あら? あらら?
なんと、あのクラシカルというかレトロというか、長身で三ツ揃えに黒髪眼鏡の紅茶にやたらこだわりがあって本には滅法詳しいくせに女心は一切解さないツンデレ系インテリ店員さんがいそうな(←ヲイ)あの建物がっ、解体されてて進行形で更地になっていました。
………………えー…。
ショックを受けて事務所に戻ってからググってみたら、朝日新聞の記事に仔細が載っていました(4月29日付 国文化財の洋風店舗、解体へ 登録も抹消)。要は老朽化で傾いて、耐震性に問題が出たけれど費用の面で折り合わなくて、修理を断念して解体したということらしいです。えええ…もったいねえ……。
国の指定文化財なら行政が何とかしてくれないかなと思いますが、京都はそんな建物が山ほどあるんでしょうし、なかなかそんなお金もないのかもしれませんね。
いつも前を通るのを楽しみにしていたのに。残念。
トップの画像はgoogle mapから。使ったら怒られるかな?まずかったら消します。
自分で撮ろうにももう肝心の建物がないんですもの…。