ややや。気が付いたら7月ではないですか。しかも10日以上も過ぎてるではないですか。
いや、噂ではどうも7月になったらしいと言うのは聞いていたんですが、まさか本当に7月だとは。
しかも祇園祭のクライマックスがすぐ週末に迫っているとは。
月日の流れるのの早いことったら、まさにご飯が炊ける間の一瞬に何もかもが過ぎ去って行くかのようですね。
さてそんなぼんやりした日々ですが、ちょい遡った7月1日、びわ湖ホールで「諏訪内晶子&ボリス・ベレゾフスキー デュオリサイタル」がありました。
このふたりは27年前のチャイコフスキー国際コンクールで、それぞれピアノとバイオリンの部門で優勝した人達で、コンクールの直後にデュオでツアーをしたり一緒にCDも出している美女と野獣…てゆーか、美女と巨大熊さん。
私は大のベレゾフスキーファン、相方は諏訪内さんのファンとありまして利害は一致、ふたりで張り切って聴きに行ってきました。
今年は梅雨入り直後から暑いなあと思っていましたが、7月に入ったせいか琵琶湖のほとりは歩くにはややハードな暑さでした。行く先にベレゾフスキー様が待っていると思わなければ、途中で諦めて帰ってたかもです。
琵琶湖ホールに早めに着いたので、隣のなぎさテラスの一角の『アンチョビ』さんで、琵琶湖を眺めながらおいしいイタリアンをいただいて期待で高まる心を落ち着かせ、びわ湖ホールの一階でコーヒーを飲んで下準備もばっちり。
よもやベレゾフスキーのコンサートで寝ることはあるまいと思いますが、プログラムがやや不安…。
会場に入って、携帯の電源を落として、入口で受け取ったパンフレット類を椅子の下に押し込んで…そろそろかな?そろそろ始まるかな? …という開演直前のこの時間帯に、私はいつもとても眠くなるんですが何なんでしょうね。なりませんか? 興奮し過ぎて脳が疲れちゃうのかな。
席は音響効果なんか知ったこっちゃない、とにかくちょっとでも近くで見たいと言うファンのミーハーさが光る一番前の真ん中なんで、寝たらステージの上から丸見えでまずいな。
などと考えてたら二人がステージに登場。
諏訪内さんは朱いロングドレス姿が美しく、ひざ下高さのサイドのスリットから金色のピンヒールを履いた御足が覗きます。
ベレゾフスキーは白いシャツにボタンを外した紺のスーツ姿…とまあ、仕事帰りのサラリーマンみたいないつもの感じ。いいんだ、そこが好きさ。彼のステージを見るのは3年ぶりですが、なんかウェイトが更に増したような…。
始まりはベートーベンの『春』。
よく知るメロディで安心です。
諏訪内さんのバイオリンは、先日、やはりベートーベンのバイオリンソナタを聴いたんですが、その時もなんかこう、優美な曲線を描く透明度がめちゃ高くてとても硬いクリスタルを連想させるというか、優しく思いやりもあるのに美し過ぎて誰も手が出せない高嶺の花系みたいだなと思いましたっけ。
次にヤナーチェクのバイオリンソナタ。
このあたりは馴染みが薄くて寝たらどうしようと最大の不安要素だったのですが、この日のコンサートで個人的に一番良かったです。
始まりから東欧の深い針葉樹の森に騎馬で分け入って行く情景が浮かび……なんてこと想像し始めたら、頭が勝手にプロットを組み立て始めて止まらないんですけど!しかも主人公が デレ抜きツンデレ女性騎士と、無骨だけど本当は繊細で情熱的な助っ人戦士のクエストとか、目の前のステージまんまやんけ!演奏に集中できない誰かとめてーーーー
というしょうもない妄想は、休憩を挟んだプロコフィエフの“5つのメロディ”でも続き、最後のR.シュトラウスのバイオリンソナタでクライマックスを迎え、エンディングに至りました。アホすぎる。でもいつか描く。
バイオリンとの競演だとピアノはどうしても後ろに下がりがちなんですが、それでも時折、ベレゾフスキーが諏訪内さんと共にバトルするような(いかん、まだ妄想が抜けない)情熱的な演奏が聴けて最高でした。
誰だよ寝るかもって言った奴。
アンコールはマスネのタイスの瞑想曲、ホイベルガー『オペラ舞踏会』より「真夜中の鐘」(クライスラー編)、え、まだ演奏してくれるの?とクライスラーのシンコペーション、うそ、もう一曲?とドヴォルザーク「我が母の教え給いし歌」(クライスラー編)…と大サービス♡の4曲でした。嬉しすぎる。
しかも最後はサイン会まで!
もちろんしてもらいましたよ。サインをもらいながら震える声で大ファンなんです!って言ったら「Thank you」って笑ってくれました。もう死んでもいい。私のお棺にはこのサイン入りCDを入れてくれ。